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一口馬主って儲かるの?実際に利益は出るのか考察しました

投稿日:2019年7月21日 更新日:

一口馬主の利益について考察する記事トップ画像

クラブへ登録し、数万円の出資金を払うだけで、誰もが気軽に馬主気分が味わえる「一口馬主」。命名権の抽選や口取り(表彰式)への参加など様々な特権がある一方で、一番気になるのは「実際のところ儲かるのか」という点ではないでしょうか。

今回は、馬主の第一歩としてピッタリな一口馬主の利益率や、どうすれば収支がプラスにできるのかなど、これから一口馬主となる方が気になるだろう部分を解説していきます。

一口馬主が儲かる確率は12.8パーセント

一口馬主にかかる費用

2006年の税制問題の際にJRAが発表したデータによると「600頭のクラブ法人の馬のサンプルから、利益を生み出しているのは12.8%」との結果が公表されています。

このデータは、一口馬主が一頭の馬に出資すると仮定して算出されています。10年以上前のデータではありますが、現在でもこの確率自体に大きな変動はないことでしょう。あくまで数値上だけでいえば、約87%の一口馬主は利益を上げられないともいえます。数多くいる競走馬の中から、12.8%の当たり馬を引くのは、なかなか難しいと言えるでしょう。

加えて、一口馬主をスタートし、出資馬を維持するためには、購入時以外にも継続した費用が掛かります。

一頭ごとに出資金がかかる

競走馬一頭あたりの出資金(JRAであれば1000万円以上)を、複数口に分けて出資できる仕組みが一口馬主です。一頭の競走馬にかかる購入費用を何口に分けるか、すなわち募集口数をいくつにするかによって、初期出資額は異なります。

一口馬主は一頭の競走馬を複数人で共同購入できるため、少ない金額から参入できるのが特徴です。400口~2000口と大口募集をかけているクラブであれば、すなわち一口あたりの単価も下がります。一方、40口程度で募集をかけ、一口あたり75万円以上の出資金を募るケースも存在します。

気になる一口あたりの出資金は、平均1万5000円~7万5000円程度。数千万~数億が相場である個人馬主に比べると、参入のしやすさは格段に上だといえるでしょう。

クラブの会費や維持資金がかかる

馬の出資金以外にもかかる費用があります。
一口馬主となるためには、どこかのクラブに所属しなければなりません。そして、クラブに入るためには別途入会金が必要なのです。
日本には現在、約20のクラブが存在します。入会費用はクラブ毎に異なりますが、平均金額は1万円~2万円だといわれています。また、中には入会金を無料としている場所もあります。

さらに、入会金以外にもいくつかの維持費用が掛かります。代表的なものといえば、保険料と年会費、維持会費でしょう。
「保険料」は(一頭当たりの募集総額の3%程度÷募集総口数×出資口数)で計算されるもので、平均金額は2000円前後といわれています。「年会費」はクラブに毎年納めるもので、平均金額は約3000円です。加えて、クラブを維持するためにかかる「維持会費」が毎月250円~1250円程度かかります。
こうした維持費用は、自身の出資馬が引退するまで続きます。

競走馬に元本保証はない

元本保証とは、100万円出資した場合、元手となる100万円を減らさない、という約束のことです。多くの投資ファンドと同様、競走馬にも元本保証はありません

競走馬はあくまで生き物です。確実にレースで成果を出せるとは言い切れません。また、思わぬ怪我や故障のリスクは常に付きまといます。デビュー前のケガなどにより、競走馬としての能力が喪失した場合に考慮されるケースはありますが、それもクラブの規約によるのが現状です。

先だって解説した黒字率と維持費のことも踏まえると、金融商材としては一定のリスクがあります。

黒字馬の出現率とリターン率は別物

先の項目で、一口馬主が儲かる確率は12.8%であると説明しました。ただし、この数値はあくまでも「クラブ競走馬の中で利益を生み出している」馬の割合にすぎず、投資におけるリターン率(収益率)とは別物です。

では一口馬主のリターン率はというと、はっきりとはわかっていません。これは、競走馬の強さによって賞金の額が大きく変動するため、一概には算出できないのです。ビッグタイトルで重賞を次々と獲得する馬の場合であれば、その分リターン率も大きくなります。

利益を出すために必要な条件とは?

では、一口馬主として利益を出すためにはどうしたらいいのでしょうか。「何口投資するか」「いくら投資するか」という点以前に、大前提となる条件がいくつか存在します。

配当をもらうためには馬が勝つしかない

一口馬主の利益は、自分が選んだクラブの競走馬がレースで勝ち抜き、賞金を手にすることによって発生します。つまり、出資馬がレースに出ること、そしてレースで勝つことが絶対条件なのです。

一口馬主の利益は、賞金金額の60%~70%程度を、口数で割った額となるのが一般的です。自分が多くの口数を所有している競走馬が数千万円~数億円の賞金を獲得できれば、その分のリターンも莫大になります。

毎年重賞を勝つ馬が選べればプラス収支

懸賞金の高いレースに勝ち、多額の賞金を持ち帰ることができる馬に出資できれば、大きなリターンが狙えます。結果、投資的にもプラス収支が見込めるでしょう。重賞などの看板レースを毎年勝てる馬を出資馬とできたなら、1000%以上の回収率も大いにあり得ます。

回収率の高かった出資馬例 画像引用エスポワールシチー(wiki)、ローレルゲレイロ(wiki)

たとえば2010年のフェブラリーステークスを制したエスポワールシチーは、500口募集に対して一口あたりの回収率が8527%。わずか1000万円を200口募集としたローレルゲレイロは、一口5万円という参入の低さながら、回収率は4917%という好成績を残しました。

ただし、こうした例はあくまで一部でしかありません。どの馬に出資するかは自由に選べるとはいえ、将来性を見極めるのは至難の業でしょう。また、人気のある馬は他会員との競争率も高くなるため、馬を選ぶスピード感も重要になってきます。

予測に役立つ配当シミュレーター

JRAの公式サイトには、馬主向け情報として「賞金シミュレーター」が掲載されています。

参考賞金シミュレーター(JRA日本中央競馬会 公式サイト)
このシステムを利用すれば、「該当する馬が指定の着順になった場合の賞金」を知ることができます。賞金を出した後は、その金額から馬主に支払われる金額(約60~70%)を割り出し、÷募集口数×応募口数とすれば、一口馬主としてどれだけの配当が得られるかが算出できるのです。

例えば、600万円の賞金を獲得した馬が100口募集だった場合、そのうちの1口を購入していれば、600万×0.6÷100×1=3万6000円の配当となります。

購入を検討している馬と、同じクラブや牧場の出身の馬を元データとして、シミュレーションしてみることで、どれほどのリターンが来るかを知る指針となるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。投資ファンドであると同時に、「一頭の馬を見守り続ける」という娯楽的な面も併せ持つ「一口馬主」。利益を追おうとすると、ハイリスク・ハイリターンな世界ですが、数万円ほどで気軽に参入できるのが最大の魅力と言えるでしょう。

まずは趣味の範囲でスタートし、ノウハウを蓄積する。そこから、満を持して大勝負を掛ける……といった段階を踏んだチャレンジも可能です。ラブによって特色もまったく異なるため、まずは気になるクラブへ資料請求などをしてみるのもお勧めです。

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うまポ!編集部

「全人類を馬主にする」をミッションに掲げながら、オリジナル取材記事や牧場情報などを定期的に配信しています。

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